久喜の二世帯住宅『景』
西と東のそれぞれ質感の違うボリュームの間には
杉板目コンクリートで囲まれた中庭。
この庭は、室内から見ても良い役割を果たしますが、
緩やかなスロープを歩く楽しみにもなっています。
天井の小幅風羽目板は、
室内突き当たりまで張り伸ばし、
正面の壁までつづきます。
(実は、この壁、引戸になっていて後ろに収納空間があるのはナイショ)
なぜ、突き当たりをつくるかというと、
次に左に向いた瞬間に、
縦に抜けた空間と中庭が一体となり、
南には広い庭が見えるという、半ば『半外部空間』とも言える開放的な土間空間に変化する前に、
空間を『絞る』時間
言い換えると、
空間に緊張と緩和が必要だとすると、
『緊張』をつくる時間を設けて、
突き当たりによって、次の空間に視線を誘導する
仕掛けの意味があります。
趣きのある良い建物は、アプローチのつくりが素晴らしいなと思うのですが、
『空間』=『場所』×『時間』
と考えていて、
空間の連続性の中で、1番『時間』をコントロールできるのが
アプローチだからではないかと思っています。
歩いて移動するという動作の中で、空間の連続的な変化が確定しているアプローチにおいては、
その演出が腕の見せどころ。
写真撮影時、
写真を撮るファインダーをご主人が覗いて、
『これが板垣さんがやりたかったことですよね。最初のスケッチと全く同じ構図だ』
と気がついてくれたのですが、
最初にスケッチするくらい、大切にした景色の一つ。
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