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執筆者の写真イタガキ

土地に住む

計画中の敷地です。


良い木がたくさん立っていて、

木陰が気持ち良い空間になっている。


気持ち良い場所だから、お施主様もベンチを置いていて公園かと思うほど。


この敷地に住居兼、カフェを計画するのですが

今ある木のうち、何割かは切らないと計画できない。


もちろん、全て倒してしまえば、建物を建てることは簡単なのですが、

この木々とこの敷地は、今まで住宅街に、

必要な余白を作ってくれるオアシスであったに違いない。


自然に生えてきた木だということですが、

今、木々によって生まれた

この空間性に、

寄り添うような建築となって、

木々の下まで空間の延長になっていくような、

懐の深い建物にしたい‥‥。


理想ばかり広がるわけですが、


実寸法を落とし込んでいくと、

なかなか難易度は低くない。


この敷地にキャンプをするとして、

テントを張るとしたらどの位置に、

どんな向きに建てると気持ちがいいだろうか


ということに近いイメージで、

人の居場所と、景色をイメージしながら

しばらく、ふらふらさせてもらいました。



結局のところ、

私たちが図面を描いているのは、

まっさらな白い紙の上でなく、

土地という空間の上であって、

街との関係性の上に描いていくわけだと思います。



すると、毎日15時頃に見える飛行機雲の景色が良いな

とか、

この木陰が居心地いいなとか、

周りに対してどうあるべきかなとか、

今ある環境の中に適応していくしかないわけです。



今の世の中、障害は一旦捨て去り、

邪魔な木は切る。

邪魔な岩は壊して捨てる。

傾斜地は一旦慣らす。


ということばかりですが、

なんでも生かせば、歴史という価値になるなと思うわけです。


用途上満たせないときは仕方ないと思いますが。


そう考えると、

フランクライドライトの、落水荘は究極ですが。


そこまで攻められないまでも、

ギリギリまで葛藤して、

私が見て『良い』と思った

あの木陰の空間を活かしたいものです。

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