時代と共に変わる家づくり
- イタガキ
- 2月10日
- 読了時間: 4分
今の時代の一般家庭くらいのお家を対象としたお話しをします。
聞くところによると、令和6年の新設住宅着工数は792,098戸。新設住宅着工床面積 60,869千m
だそう。(新建新聞の三浦さんのFacebookより)
単純に割ると、一件の平均面積は、76.84㎡となる。
坪数に直すと23.19坪。
私が前職に新卒で入社した10年ちょっと前は、
先輩に30坪以下は家じゃない!なんて言われる
(田舎の会社だったこともあり)時代でした。
当時は、大手メーカーや優良工務店の坪単価が80万円以下。下手すると50万円台で家が建っていた時代。
当時より、構造や断熱性能への基準が高まり、純粋に物が良くなって高くなったということもありますが、それを差し引いても物価の上昇が顕著。
コロナ禍と職人不足が重なり、一気に3割以上も単価が上がったここ数年については皆さん理解されていると思いますが、
その前数年も、じわりじわりと価格は上がってきていた。
価格転嫁するにも、仮に坪180万円×30坪+諸経費なんて家を建てられる人となると、
世の中のメーカーさんが狙う客数は間違いなく担保できない。
そこでまず、
多くのメーカーは、見えないところで仕様を落として単価を下げる努力をしたように思う。
(見えるところで落とすと、ブランド力が落ちるわけなので、気づかれないところでコツコツと←これが私は怖いと思う)
それでも、世の中のお客様が出せる予算に収まらないので、坪数を小さくして総予算縮小。
ここまでが大きな世の中の流れだと思います。
私の見方ですが、
私や、真面目な工務店や真面目な設計者がここと少し違うのは、
コロナ前の物価上昇局面から、
お客様のコストに合わせるためとはいえ、
質を下げることはせず、
デザインの力で
収納力や空間の広さを担保しながら、
数字上の坪数を小さく納めて総予算に収まる計画を目指してきたことではないかと思います。
質を落とせば、将来へのツケをまわすことになり、メンテナンスコストがかさみ、
結果として損をしてしまう。
それをさせない範囲の中で仕様のバランスをとり、それでも総予算を保つには、それしか方法がなかった。
そんなこんなで、今現在では世間一般では20坪台前半の家づくりは当たり前。
(データからも)
なんなら4人家族25坪は大きめ。
30坪は豪邸。
↑これ、私だけ3年前から言っていましたが
実際にそうなってきた。
そうは言っても、お客様が最初からその大きさ感のイメージを持っているわけではない。
実家のイメージで30坪、40坪欲しいとおっしゃる方も少なく無い。
『20坪で収納たりるの?狭く無いの?』
答えは、『デザインによる』
です。
デザインによって
同じ床面積に収納出来る物量は3倍変わると思います。
デザインによって、同じ面積でも
狭く感じたり、広々感じたり
というのは当たり前に起きていることです。
では、よく聞かれる
それをどのように判断したらよいかという話しですが、
一般の方が図面見ても、多分わからないです。
プランで判断しようとしている人は、
大抵、出来上がってから失敗に気がつきます。
一般の方が出来ることは少ないのですが、
設計やデザインをしている本人に、
実物件の案内をしてもらって、
(出来れば、物が入って住んでいるところが良いが)収納に対する考え、空間に対する考えを聞く。実際に同じようなサイズ感で事足りているか確認するのが良いように思います。
同じ会社であっても、そこの能力は属人性が強いので
頼む相手、その人の能力を確認することを勧めます。
物価が高すぎて、難しい世の中になりました。
比較的な話しですが、
面積が広ければ、あまり考えなくても設計やデザインできてしまうところ、
今は、知恵を絞って絞ってうまく纏める能力が必要。
どの人に頼むとそれが出来るのか、見極める能力が必要な時代になってしまいました……。
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